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2024/09/19 04:01 |
「いま、会いにゆきます」     市川 拓司

―私はもうすぐここからいなくなってしまうけれど、また雨の季節になったら、二人がどんなふうに暮らしているのか、きっと確かめに戻ってくるから。―

一年前に死んだ妻が残した言葉。

夫・巧と息子・佑司は、妻・澪が残した不思議な言葉を思い出しながら雨の季節を迎える。

 

 

 映画化・ドラマ化された「いま、会いにゆきます」の原作。

私は映画館で映画を観て、予約してDVDを買った(限定版)。

書籍を映像化するのはあまり好まない。

このお話は、先に映画を観てよかったと思う。(ドラマは一話だけ見て見るのをやめた。)

 

映画が上映される前、澪役の竹内結子がインタビューでこんな風なことを答えていた。

”脚本を読んで、「いま、会いにゆきます」というタイトルの意味がわかった時に涙が出てきました。”

私も、このタイトルの意味がわかった時、顔があげれなくなりました。(その前から泣いてはいたけど。)

 

 そして、DVDを買って一年後。

行く予定のなかった青森市の図書館で、私はこの本に出会うわけです。

海が見える空に近い広い図書館の中で、半分くらい、このお話を読みました。

巧が、佑司のために、そして忘れないために書いた小説。(という設定)。

言葉たちはとても優しく、流れる空気はとても暖かい。

”幸福なだけではないけれど”、誰かを愛することはとても幸せなことなんだ。

それは人それぞれで、どこかで秘めた想いを隠していて、それでも笑っていて。

「わたしはあなたを幸せにできていた?」「幸せだったよ」

それを確認するために、もう一度「出会い」と「別れ」を繰り返す。

 

映画とは違って、時間の流れがとてもゆっくりに感じました。

もちろん、2時間の映画よりも中身が濃いのは当たり前なのだけど。

巧と澪、巧と佑司、佑司と澪。巧と澪と佑司。

3人の関係性がとても複雑で、ただ「愛してる」だけではなくて。

こんなに深く家族を想うことができるのは、とても幸福であってとても苦しいことなんだと。

自分で選んだ人生。

この人生しかないと決めた。

だけど本当にそれでみんな幸せだった?

簡単に聞けそうで聞くのがとても怖い質問。

だけれど、言葉にしなければ伝わらない・わからない気持ちは絶対にある。

 

 小説の中の、「たっくん」と「佑司」の会話。

とても暖かくて、私もいつか子供ができたら、こんなお話をしてあげたいと思います。

二人の一つ一つのエピソードは微笑ましいし苦しくもなる。

こんなに必死で親密な関係を誰かと築きたくなる。

どちらが保護者かわからないけれど、たくさんの不具合を抱える父親を、煙たがらずに思いやる息子。

それだけでも胸が苦しくなる。

 

 ”幸せなだけではないけれど”、幸せなエピソードを大切にできることは幸せで。

だけれど、大切な人を大切にするのは難しい。

相手はそれで本当に幸せ?

そんな問いかけはきっとなくならない。

「愛があれば他に何もいらない」ようなお話だけど、本当にそれだけ愛せる人たちが現れたら

きっとそんな人生を選んでしまんだろうな。

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2006/10/08 22:21 | Comments(1) | TrackBack() | 小説

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コメント

お久しぶりです。
トラックバックうってみました。

これ映画でみました。かなりありえないストーリーですが、それだけに感動もひとしお。。。
そっかぁ、小説も面白いんですね?今度読んでみよっかなぁ。
posted by D15at 2006/10/12 01:27 [ コメントを修正する ]
Re:あ、みました
お久しぶりですね。トラックバック、ありがとうございました!
しかもこの記事、私の誕生日だw(どうでもいいけど)

市川拓司の話も文章も私は好きですね。有り得ない話なんですけど、暖かい感じがして。今度読んでみてください☆
2006/10/18 23:45

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